伊号第 29 潜水艦(伊 29 潜)


 「乙型」潜水艦の10番艦として、1942(昭和17)年2月に横須賀海軍工廠で竣工した。ただちに第8潜水戦隊に配属され、オーストラリア沿岸に派遣されて通商破壊任務に従事する。翌43(昭和18)年4月にはインド洋に進出し、洋上でドイツ潜水艦と落ち合って、同国に亡命していたインド独立の運動家チャンドラ・ボースを受け取る特殊任務を成功させた。
 同年11月5日、4隻目の訪独潜水艦としてマレー半島のペナンを出港し、翌44(昭和19)年3月11日にドイツに占領されていたフランスのロリアン港に到着した。 ロリアンではドイツが開発したロケット機、ジェット機など最新軍事技術の資料や実物を受け取り、同年4月16日に出港し、7月14日にシンガポールまでたどり着いた。 しかし、日本本土へ向かう途中、同26日にバシー海峡で米潜水艦の雷撃を受けて沈没した。 写真はロリアン港での出港準備中に撮影された。
(1944年04月16日撮影) 【時事通信社】