伊号第 51 潜水艦(伊 51 潜)


 日本海軍が主力艦隊に随伴する大型潜水艦として1919(大正8)年から開発を始めた「海大」型潜水艦の1番艦。水上艦艇の巡航速度に合わせ、最低でも20ノットの水上速力が求められた。 これを実現するには、1基3000馬力程度の機関が必要で、スイスのズルザー社に開発を依頼したものの時間的に間に合わず、1300馬力のディーゼル機関を4基搭載した4軸推進の変則的な形態となった。
 全長91.4メートル、水上排水量1390トン、水中排水量2430トンで、日本海軍が建造した潜水艦としては初めて水上排水量が1000トンを超えた。 呉海軍工廠で1924(大正13)6月に竣工し、当初は伊号第44潜水艦という名称だったが、同年11月に「伊号第51」に変更された。 写真は竣工直後の撮影とみられ、司令塔には「44」という当初の艦番号が記されている。
 伊51潜は実験艦としての位置付けだったため、28(昭和3)年には艦隊任務から外れ、練習潜水艦となった。 4軸推進という特殊性もあって故障も目立ったが、その後に多数建造された艦隊型高速潜水艦のベースとなった。
(1924年撮影) 【時事通信社】