伊号第 58 潜水艦(伊 58 潜)


 「乙型改2」潜水艦の3番艦。乙型改2は1941(昭和16)年の戦時建造追加計画に盛り込まれたもので、乙型をベースとしながら、ディーゼル機関を製造容易な簡易タイプに換装した。 機関出力が水上で4700馬力と乙型よりも減少し、最大速度は乙型の23ノットから17.7ノットに低下した。 ただ、機関の重量と設置スペースが縮小したことを生かし、航続距離を2万1000海里まで伸ばしたほか、魚雷搭載本数の増加や安全潜航深度の向上など、実戦向きの改良も加えられた。
 伊58潜は既に戦況が悪化した44(昭和19)年9月に横須賀海軍工廠で竣工。 短期間の訓練の後、同年12月には人間魚雷「回天」を搭載してグアム島方面に派遣された。 終戦まで回天の母艦として任務に就いたが、45(昭和20)年7月29日、フィリピン近海で米巡洋艦インディアナポリスを魚雷で撃沈する殊勲を挙げた。 その後、無事に呉まで帰還し、航行可能な状態で終戦を迎えた。 写真は竣工直前の公試中に撮影された。 回天を搭載するため、後部甲板に砲は搭載されていない。 司令塔前方の観測機用格納庫と前部甲板のカタパルトも後に撤去され、回天搭載のスペースとされた。
(1944年09月04日撮影) 【時事通信社】