伊号第1潜水艦(伊1潜)


 日本海軍が建造した「巡潜1型」の1番艦。巡潜は「巡洋潜水艦」を意味し、敵国の勢力範囲まで長駆進出して軍艦や商船を撃沈することを主な任務としていた。 巡潜1型は第1次世界大戦で大きな戦果を上げたドイツのUボートを原型とし、建造に当たってもドイツから技術者を招いて指導を仰いだ。
 1926(大正15)年3月に神戸川崎造船所で竣工した伊1潜は、ドイツのクルップ・ゲルマニア社が製造した「U142」の設計図を基に建造された。 武装のみ日本式で、推進装置、電池、潜望鏡などもドイツ製を輸入して装備した。 写真は竣工直前の公試中に撮影された。
 巡潜1型は全長97.5メートル、水上排水量1970トン、水中排水量2791トン。機関はラウンシェンバッハ式のディーゼルエンジン2基を搭載し、水上は6000馬力の出力で18.8ノット、水中では8.1ノットの速力を出すことができた。 伊1潜は竣工後、第2潜水戦隊に配属され、日中戦争では中国沿岸での作戦に従事。太平洋戦争が始まると真珠湾攻撃の前方哨戒に起用された。 1943年1月、ガダルカナル島への物資輸送任務中に連合軍艦艇に発見され、砲撃戦の後に沈没した。
(1926年02月撮影) 【時事通信社】