伊号第 16 潜水艦(伊 16 潜)


 航空兵装を搭載せず、その分、魚雷発射管を増設した「丙型」潜水艦の1番艦。三菱神戸造船所で起工され、進水後に呉海軍工廠に回航されて1940(昭和15)年3月に竣工した。 写真は竣工直前に広島湾で公試中の姿。全長109.3メートル、水上排水量2184トン、水中排水量3561トンで、ディーゼルエンジン2基を搭載し、1万2400馬力の出力で水上23.6ノット、水中8ノットの速力を出すことができた。
 武装は40口径14センチ単装砲1門、25ミリ連装機銃1基、53センチ魚雷発射管8門を艦首に集中装備し、魚雷搭載数も20本とこの程度の大きさの潜水艦としては多かった。 41(昭和16)年の太平洋戦争開戦時は、特殊潜航艇の母艦として真珠湾攻撃に参加した。 42(昭和17)年にはインド洋に進出し、マダガスカル・ディゴスワレスの連合国艦隊攻撃に特殊潜航艇を送り出した後、アフリカ東海岸で通商破壊作戦に従事した。 44(昭和19)年5月、トラック島を出撃した後、消息不明となった。
(1940年03月09日撮影) 【時事通信社】